水の彼方 ~Double Mono~

ＮＨＫのテレビ番組に出演しこの本について語る彼女のインタビューを見かけました。
確か「過去の自分との区切りとして描きたかった小説」と動機を述べていたと思います。
歌手、女優、作家など分野が多岐にわたることに質問されて、マルチメディア時代に
生まれた私たちは１つの分野にしぼる必要がないのではないかとも答えていました。

この本では彼女の出身地である「武漢」で少女時代をすごし、大学に合格した後、
北京に上京し、大学生活を送る女性主人公（と身近な友達）を描いています。

生物の授業からは「匂い」を、主人公が流す音楽からは「聴覚」を、時々現れる
象魚などの空想からは「視覚」を感じさせます。その空想描写は「アメリ」のような
少女特有な突飛な空想？　また「聖闘士星矢」が家庭のテレビで流れているシーンなど、
1980年生まれの一般的な家庭の時代背景を感じさせました。

文学少女すぎない作風は日頃、中国文学に接してない人でも読みやすい気が。
彼女の本を読むことで今の中国の20代の若者を「感じる」ことができるのでは？