


いとこ同志 [DVD]
ほんとうに悪魔的な視線で描かれています。フランス映画は、こういう「悪の華」を咲かせるのが巧い。ラクロ原作、ロジェ・バディムの「危険な関係」とか。「危険な関係」より徹底してるといえよう。映画化作品の方は未見だけど、ゾラの小説「居酒屋」も、そんな感じだった。
邦画の「狂った果実」の影響下にあると言われてますが、「狂った〜」のほうが、衝撃のラストと言われるわりには因果応報的な結末で、普通の人の溜飲を下げる結末であるのに比べて、こちらは後味悪すぎで、だが、そこがいい。
最近のトッド・ソロンズの映画のように、ただ露悪的なだけで結局は一種の「負のファンタジー」(=ハッピーエンドの裏返し)になってしまってるのとは大違いで、リアルさがあると思う。

いとこ同志 全集 [DVD]
今から35年以上前、「火曜日の女」シリーズというサスペンスのTV映画シリーズがあった。毎週火曜日の夜10時からのオン・エアーで、当時はまだ小学生の高学年だったため、細部まで覚えていないが(ただし、“ルー、ルルゥ、ルルー”とのスキャットで始まるテーマだけは、今でも口ずさめるが)、タイトル名の如く、古今東西のミステリーを原作に、女性が主人公の傑作サスペンス揃いで、両親と共に大層面白く観ていた記憶がある。星由里子、大空真弓、三田佳子らが主演し、W・アイリッシュの「幻の女」や松本清張の「山峡の章」、それにS・ジャプリゾやC・アルレーの作品も取り上げられていた気がするが、中でも一番の傑作は、倉本聡が脚本を書き、岸田今日子が主演した「ガラス細工の家」で、有名私立中学受験を控えた医師一家の息子たちの誘拐を巡るサスペンスは、当時自分が同じ境遇にいた事もあり、今でも鮮烈に覚えている。さて、今作は、横溝正史の「三首塔」を原作にしているが、モチロン金田一耕助は登場せず、島田陽子をヒロインに連続殺人が繰り広げられる。当時子供心にスゴク怖くゾクゾクしながら観たものだが、果たして今日でも変わらず面白く観ることが出来るか楽しみだ。そして、前述した「ガラス細工の家」も、これを機にDVD化され、日の目を見ることを願いたい。

いとこ同志 [DVD]
中平康監督『狂った果実』の影響下から生まれたという
対照的なふたりの青年を主人公に、不条理な社会と青年の移ろい傷つきやすい内面を描いた作品。
ワーグナーの曲を効果的に使ってましたね。
「ワルキューレの騎行」を聴くと『地獄の黙示録』の爆撃シーンを連想してしまいますが
次、この曲聴いたら、こっちを思い出すかもしれません。
ジュリエット・メニエルを見て、「この女、最低」と思う人もいるかもしれせんが
私はそんなに悪い子だとは思いません。そんなもんです(笑)

いとこ同志 [DVD]
版権切れのため生産中止につき、在庫(と中古)のみの販売となっています(アイ・ヴィー・シーに確認済み)。2005年版、2006年版、2010年版、いずれも全く同じ内容ですから、一番安価なのをお求めになればいいです。ただし、山田宏一氏他の執筆による説明書は2010年版(赤いジャケットの廉価盤)には封入されていませんので、ご注意ください!(※なお、シャブロルの処女作『美しきセルジュ』のDVDにも、全く同じ内容の説明書が入っています。)
クロード・シャブロル第二作目の『いとこ同志』は、1959年3月に劇場公開され、パリだけで25万以上の観客を動員し(トリュフォーの『大人は判ってくれない』、ゴダールの『勝手にしやがれ』などに次ぐ動員数)、ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得しています。価格もお手頃、画質も(少し丸いゴミのようなものが見られますが)そんなに悪くなく、興味ある方にはおすすめです。
1950年代末、カルチエ・ラタン(パリの学生街)の「青春群像」とも言えるこの作品、決して観て楽しくなる映画ではありません。
それどころか、鑑賞者にとって「居心地の悪さ」はたいへんなもの。聞きたくもないことをズケズケ言われる感じです。なのに、抗いがたい魅力があるのも事実。傷口をさらに自分の指で押し広げて、その痛さを確かめるような妙な(マゾヒスティックな)快感を覚えます…。
対照的な性格のイトコどうし、都会的で背徳的、女たらしで要領よく立ち回るポール(ジャン=クロード・ブリアリ)と、純朴でまじめで不器用な「好青年」シャルル(ジェラール・ブラン)。
美しい女子学生、フロランス(ジュリエット・メニエル)に一途な恋をしたシャルルですが…。
まるで、彼の「好青年」ぶりをあざ笑うかのように、二人きりのはずのドライブは邪魔が入り、デートの約束は時間を間違えすれ違い…と何もかも上手く運ばず、結局は、ポール、シャルル、フロランスの三人の奇妙な共同生活が始まります。
パーティや悪ふざけ、異性との交遊に明け暮れるポールとその仲間たち。
定職を持たず、ポールに寄生しているクレヴィス(クロード・セルヴィル)という、怪しくイヤラシい地獄の使者のごとき中年男(←ほんとにイヤな感じです。)や、尻がるでコケティッシュな女子学生フランソワーズ(ステファーヌ・オードランがとってもチャーミング!)ら脇役の人物造形が、背徳的なムードを助長しています。
この映画、音楽の使い方が絶妙です。
ポール・ミスラキのスコアがすばらしく、爽やかなメロディーは、躍動感あふれる映像とともに、つかのま青春の息吹を感じさせ、一転してジャジーでけだるい曲調が、彼らの「行きどころのなさ」を…。
ポール自ら要所要所でレコード盤に針を置く、モーツァルト(40番)やワーグナー(『トリスタンとイゾルデ』『ワルキューレの騎行』)は、彼らの「危うい均衡」をゆるがすように鳴り響きます…。
サスペンスとしても面白い脚本はもちろんのこと、キャスト、音楽、美術、そしてアンリ・ドカ(カメラ)の美しい映像、どれもこれもとてもいい(と思います)。
「なぜ、このような映画を作ってしまったのですか?」
と聞きたくなる不条理で、冷徹な視線を感じさせる映画ですが…。「善悪」でジャッジせず、ものごとを丸ごと映し出している感じが、なんとも魅力的です。
★ラストを知らずにご覧になった方が良いので、解説などお読みになる際はご注意を!
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