JUNO ジュノ [レンタル落ち]

１６歳、ちょっと変わった女の子、ジュノが「妊娠してしまった」ことから巻き起こる騒動と周囲の人々との交流を通じて成長していく彼女の姿を描く「ハートウォーミング・コメディ」。

というのが観る前の予想でしたが、微妙に外されましたね。
保守派には叩かれないような展開（ヒロインが中絶に反発を見せる辺り）を用意する一方、
ジュノの性格と言動は至って明け透けなものにする（字幕では伝わりにくいですが）ことでそのエキセントリックな点を強調して若い世代にアピールすることも忘れていない。
正直言うとこの部分がズルい気がしないでもない。

本作がユニークなのはあくまで妊娠はジュノが経験するある一つの出来事としてしか扱われていない点。
結局「母性」を象徴するような、わが子を抱くジュノの姿は出てきませんし、それは子供の父親であるブリーカーに関する描写についても同様です。
確かにこの「ドライ」とも言える感覚はこれまでに同様のテーマを扱った作品群には無かった気がしますね（そういう意味でこれこそ「リアル」なのかも知れませんが）。
ラストに至って明らかになるのはこれが結局ある女の子が「真実の愛」に気付くまでの実に王道的な青春ラブストーリー＆成長談であったということです。
結局、ジュノの妊娠と出産は彼女の「成長」を描くための手段（結果として聞こえは悪いですが）として扱われているのに過ぎないのだ。
ある意味ショッキングでもあり、同時に新鮮な視点とも言えますが...。
この展開にノレるかどうかは個人差がありそうですね。

ネタは古くても切り口とディテール次第でアピールできる作品はまだまだ作れるということなのでしょう。
配役は良かったですね。
エレン・ペイジはもちろんですがジェニファー・ガーナー（Ａｌｉａｓ），アリソン・ジヤネィ（ザ・ホワイト・ハウス）、ジェイソン・ベイトマン（Ａｒｒｅｓｔｅｄ　Ｄｅｖｅｌｏｐｍｅｎｔ）に加えてパパ役のＪ・Ｋシモンズが好演。
監督のジェイソン・ライトマンはデビュー作の「サンキュー・スモーキング」も相当手慣れたものでしたが今や注目の若手クリエイターの筆頭ですね。