


豚の報い
又吉栄喜の芥川賞受賞作品。沖縄の場末のスナックに豚が闖入し、従業員の女のひとりが魂(まぶい)を落とす。つまり今日風に言えば失神をする。その珍事ひとつをとってみてもいかにも沖縄的おおらかさを感じさせるが、その厄落としのために御嶽に向かう過程で繰り広げられる物語のすべてが、どこか人間くさいおかしみを内包しており、肩の力が抜けてゆく。登場人物の女たちはみな心の傷を負いながらも、あっけらかんとたくましく、そして南の光そのもののように生命力にあふれている。爽やかな読後感が残る作品。
ただし文体は「妙に静かに」「妙に年寄りっぽく」「妙に潤んでいた」あるいは「変にはっきりと聞こえた」「変に青白かった」「変にざわめいている」等の語句が頻出するなど、もう少し精錬して欲しかった。芥川賞選考委員の方々も、登場人物たちのオプティミストぶりと沖縄土着のおおらかさに、ものの見事に飲み込まれていったということだろうか。むろんそれも作品の力と言えなくもないが。


夏休みの狩り
一気読みした。けっこう面白かった。
自分の子ども時代を思い出して懐かしくなったね。子どもがどう世界をとらえているのか、という描写がリアル。さすがは芥川賞受賞作家だ。
最近、わたしはミステリーばかり読んでいたから、こういう純文学系の小説は新鮮だった。
いちいち情景描写や心理描写がいいんだよね。ガジュマルの木の下で、とかさ。頭の中に夏の日の少年時代の風景が浮かんだよ。
あと、やっぱり女の子の描写が素晴らしかったね。ワンピースや浴衣を着ている純真無垢なかわいい女の子。これもまんま、わたしが少年時代に好きだった女の子のことが頭の中に浮かんだ。
ユーモアにあふれていたのもよかったね。主人公の少年はガキ大将に表面的には従順なんだけど、心の中では呆れていて馬鹿にしまくっているの。
ワガママでアホ丸出しのガキ大将に笑ったよ。ジャイアンみたい。ジャイアンと同様に仲間を助けたりするいいところもちゃんともってはいるんだけどね。まあ、でもあのガキ大将はやっぱりロクでもない奴だと思うけど。
少年時代の懐かしい思い出に浸りたい方におすすめの本です。主人公が住む町の美しい自然の描写も素晴らしかったです。

豚の報い (文春文庫)
浦添の社交街にあるスナック「月の浜」は(40代と思われる)ママのミヨと
(30代と思われる)ホステスの暢子、(20代と思われる)ホステスの和歌子が働く小さな店である。
その店に居る正吉は琉球大の1年生と記されるだけで、客だとも、
ちょっとしたアルバイトをして小遣いを貰っている青年だとも紹介されない。
ある日、店に、運送途中に事故でトラックから落ちた豚が闖入してくる。
豚は店の中で暴れまわり、追い詰められた和歌子の体を舐めまくる。
和歌子は魂(マブイ)を落とす。失神したのである。
正吉は3人の女たちがそれぞれ抱える迷いを払うために、故郷の真謝島(久高島がモデルと思われる)の
御嶽(ウタキ)に御願(ウガン)にいかないかと誘う。
正吉には御願以外にも、もう一つの目的があった。
琉球を舞台に交錯する「生と死と魂」
女たちのどう仕様も無い苦しみ。
正吉と女たちに訪れるほんの少しの希望。
気の弱い時に読むと涙が止まらないだろう。
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