DRAMAtical Murder re:code 初回限定生産版

18禁PCゲーム「DRAMAtical Murder」の移植作となる本作。PS Vitaでは初のBLゲームとなります。
CGの繊細なクオリティや凝った演出はそのままに、PC版以上に快適なシステム、
既存個別ルートに引けを取らないボリュームの新規ストーリーが追加されています。
共通ルートをほぼ丸ごと遊べる体験版がPSストアにて配信中なので、購入を検討している人は是非DLしてみて下さい。

基本的にはPC版本編のエピソードのみ収録で、FDであるリコネクトのストーリーは収録されていません。
各カプのストーリーは本編を起点に、リコネクト、現在リリース中のドラマCDを経て発展、完結していくので
年齢や環境を満たしている方はリコネクトを、そうでない方はドラマCDを、
本作のプレイ後に手に取って欲しいと思います。

既存ルートに関しては原作のHシーンや残酷なシーンは新規シナリオやCGに差し替えられ、ソフトな表現にアレンジされています。
原作をプレイ済みだとインパクトには欠けますが、差し替えのラブシーンは
各カプの魅力を十二分に引き出したもので、これはこれで良いものだなと思えました。

見逃しやすい隠し要素として、CGライブラリーで特定のCGの特定箇所をタッチするとキャラクターボイスが流れる仕掛けがあります。
このボイスが短いながらも萌えに溢れていて、個人的にはこれだけでも買って良かった！という気持ちになりました。

そして本作一番の目玉となる新規ストーリー。
モルヒネルートと名付けられたこのルートは「もう一人の蒼葉」と、原作では非攻略キャラであったミズキを中心に、
原作では描かれなかった東江サイドからのストーリーが展開されます。
蓮ルートを真相ルートと位置付けるなら、こちらは裏真相ルートと言っても差し支えないほど
DRAMAtical Murderという作品、そして蒼葉というキャラクターの核心を掘り下げるエピソードだと思います。
既存ルートとは全く異なったシチュエーションでストーリーが進むため、先が読めず最後までドキドキしながらページを送りました。

モルヒネルートは同時にミズキルートでもあります。
友人ポジションが確立していたミズキの攻略キャラ化には賛否あると思いますが
何故「もう一人の蒼葉」の物語にミズキが必要だったのか、という部分がとても納得できるものだったのですんなり受け入れる事ができました。
蒼葉とミズキが至る意外なEDは、是非その目で確かめてみて欲しいと思います。

初回限定版に同梱されているサントラにはGOATBEDによるOPテーマ「RADICAL MAT」と、
モルヒネルートのバッドEDテーマ「FORM SWEET FORM」、他新規BGM2曲が収録されています。
また、小冊子にはオフィシャルワークスにも掲載されていたキャラ設定画の一部の他、
イベントCG線画、未使用シナリオ、原画ほにゃらら先生や楽曲担当のGOATBED含む
制作スタッフの描きおろしイラストやコメントが掲載されています。

原作からのファンとしてはやはりモルヒネルートのインパクトが強く、
蒼葉というキャラクターの振れ幅の広さに良い意味で改めて驚かされました。
既存ルートでの変更点は多くはありませんが、蒼葉やミズキが好きな人はモルヒネルートの為だけにでも、プレイして損はしないのではと思います。
とにかく今は、モルヒネルートED後のエピソードがいつかどこかで描かれる事を期待したいです。