TRY AGAIN(初回限定盤)

♪TRY AGAIN♪

アルバム「Future Kiss」を彷彿とさせるデジタルポップです。

キレのいいデジタルサウンドや、エフェクトのかかったヴォーカルなど
サウンド面ではよく出来ているなと思います。

ただ彼女の歌声は透明感があって繊細な歌声であって
パンチが効いていたり、迫力があるわけではないので
普通にアップテンポの曲を歌うと、アイドル歌謡的に、軽く薄くなってしまうと思います。
今回の曲も…サビ部分がちょっと…
ただ後半の英語のみで歌っているサビ部分は良かったと思うので、
彼女がアップテンポを歌う場合は、サウンドや歌詞など(日本語詞を控える)をクールさを
強めたりしてバランスを取ることが必要かと思います。

また、今回の曲で、声や歌唱以上に気になったのは歌詞です。

ここからかなり辛辣なことを書きますが、私が倉木麻衣のファンで、その良さを十分に理解しているゆえである事をご理解していただきたいです。

彼女がアップテンポの曲を歌う場合はポジティブな応援ソングであることが多いですが
「響きません」。
私は彼女とほぼ同じ年齢です。また他のリスナーも20代後半以上の人が多いと思いますが
それらの世代は、ある程度の人生経験も持ち、酸いも甘いも知っています。
そういう人に、「がむしゃらに今を進む」「上を向いて」「夢を見る」「try again」
夢に溢れている中高生にならば、そういう言葉は響くでしょう。
10代の人が歌えば、そういう言葉は説得力があるでしょう。
しかし、大人にとっては、こういうポジティブさは苦痛だと思います。
また、30歳の人が、女子高生の役を演じている映画を見たいと思う人がいるでしょうか？

♪さくら　さくら…♪

こちらは素晴らしい出来だと思います。シンプルなピアノサウンドですが
流麗なメロディーで彼女の声に美しさや表現力も際立っていると思います。
「time after time」を丁度10年前にリリースしましたが
その正統進化した楽曲ともいえると思います。

try againとは逆に、この曲は特に詞が素晴らしいと思います。

和のテイストに合わせて、「弥生」などの単語を使ったりしていますが
想いや人生を桜の花にメタファーさせた詞は素晴らしいです。

そういう部分には彼女の素晴らしい感性を確かに感じることが出来ます。

デビュー15周年を目前にし、「儚さ」などで素晴らしい歌声や詞を見せてくれた流れだったので
try againは少し残念でした。

try again=★×3
さくら　さくら=★×5

で★×4にしました。