不動産絶望未来 ―これからの住宅購入は「時間地価」で探せ！

不動産購入について、日本経済の動向等マクロの視点を踏まえた視点を提供してくれる本です。
タイトルはセンセーショナルですが、
マクロ経済動向を踏まえた不動産市場の需要と供給の歴史および展望を分析したかなり真面目な本です。
内容は、「1人公共事業」「住宅１人ベンチャー」「昭和妻」「住宅のクラウド化」など記者ならではのネーミングもあり、社会学的にも楽しめる一方
不動産購入にあたって、個人の資産運用の観点から説明した購入者側の視点にたった内容となっており、
他の不動産購入指南本とは一線を画しています。
個人的には、これまで一通り目を通してきた不動産購入関連本では一番役に立ちました。

日本の不動産市場に現在歪みをもたらしている事実として、
中古流通市場の機能不全、業界あげての新築一辺倒の持家文化推進をあげています。また、
人口減少、低成長率、少子高齢化、膨張を続ける国債残高を背景に、住宅ローン減税や低金利といった
短期的な視野に基づく需要喚起のための住宅市場てこいれ政策を実施してきましたが、それも限界に近付いていることを考慮すると、
「持家信仰」が根強い社会通念に基づいて、長期の住宅ローンでレバレッジをかけて不動産を購入することが、
いかにリスクが高いかがわかります。
この本は、根強い不動産購入派から賃貸派へのパラダイムシフトを促すほどの影響力があるかと思います。